ガムの包み紙。
電車の座席の上にポツンと落ちているガムの包み紙。
なんか特別な気持ちを感じてしまった。
1人だけ置いていかれて、買われた街から離れて、全然知らない土地へと意識とは裏腹に連れて行かれる。
なんだか包み紙に同情してしまう。
あれってゴミのようでゴミじゃない。
あれがないとガムを吐き出す時に困るし。
かといって、包み紙は意外と小さくて、吐き出してそのまま鞄に放り込んだ日には終わりだ。
頼れないんだけど、なんだか使うか迷う暇もなく捨てられてしまったんだな。
停まった駅で乗ってきた人がアッサリと包み紙の上に座った。
こんなに気持ちを向けていたのに、そういえばあれはゴミなんだな。
ゴミにこんなに執着してしまっていたのね。
小さな事が気になってしまうそんな夜。